南東北病院グループのがん治療の特長
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独自のがん治療への取組み
動注化学療法
総合病院であることの強み
南東北がん陽子線治療センターは、総合南東北病院と隣接していいることにより、複数の診療科専門医師と一緒に総合的に患者さんを診ることができます。
より安全により高い治療効果をめざして、医師による動注化学療法と陽子線治療を併用する独自のがん治療に取り組んでいます。
頭頸部がんや膀胱がんに対する動注化学療法併用陽子線治療
南東北がん陽子線治療センターでは頭頸部の機能・形態を温存するために、陽子線治療と動注化学療法を組み合わせた集学的治療に取り組んでいます。頭頸部では特に舌がん、上顎がん、咽頭がんなどに有効です。
また、進行した膀胱がんは、通常は膀胱全摘出になりますが、膀胱温存を期待した、動注化学療法と陽子線治療の併用療法を行なっています。
動注化学療法とは、血管からカテーテルを挿入し、がん組織に栄養を送る動脈に直接抗がん剤を流して局所のがんを縮小・消失させる治療法です。静脈から流す通常の抗がん剤治療と異なり、がんに栄養を与えている動脈だけに、高濃度の抗がん剤を投与できるため、治療効果が高いのが特長です。
また使用する抗がん剤には、放射線増感作用があり、陽子線(放射線)と併用することで、治療効果を高めることが出来ます。
2つの動注化学療法
動注化学療法には、カテーテルを耳の前にある浅側頭動脈から挿入する「逆行性動注化学療法」と、大腿動脈や上腕動脈から挿入する「セルジンガー法による超選択的動注化学療法」(下図)の2種類があります。当センターの頭頸部がんに対する動注療法では、2つを使い分けより効果的な治療を行っています。膀胱がんの場合はセルジンガー法で行います。
進行舌がんに対する逆行性動注化学療法
セルジンガー法による超選択的動注療法
膀胱がんに対する動注化学療法
※セルジンガー法は、針を刺してその内側にガイドワイヤーを通し、その針を抜いた後に血管内に留まったガイドワイヤーの外側からカテーテルを挿入する方法です。
スペーサー
総合病院であることの強み
南東北がん陽子線治療センターは、総合南東北病院の同じ敷地内に隣接されています。総合病院と一緒にあることで、患者さんにとっても負担が少なくなることが考えられます。総合病院専門の外科医が陽子線治療を施す前に、より確実で安全に照射するための外科的な処置を施すことができます。そのひとつがスペーサー手術になります。
体にメスを入れることはないのですが、陽子線による体への負担を少しでも減らし、安全に治療を行うための方法としてスペーサー手術を行う場合があります。
「スペーサー手術」で腹部領域のがんも治療可能に
肝臓の一部や膵臓などの腹部、または骨盤領域のがんは、陽子線で最も治療しにくい部位といわれています。そのまま陽子線を照射し、隣り合っている胃や十二指腸などにも高線量の陽子線が当たってしまった場合、後から腸管などに穴があいてしまう恐れがあるためです。
これらのがんに対し、当センターでは外科と連携して「スペーサー手術」をした後に陽子線治療を行っています。手術でがんと消化管との間に患者さん自身の脂肪(大網)や、術後半年ほどで体に吸収される不織布型の生体吸収性スペーサーを入れてスペースをつくり、消化器官に高線量の陽子線が当たらないようにする、というものです。
この方法により、手術で取れないがん、放射線を十分に当てられなかったがんも治療が可能になっています。
前立腺がんに対するスペーサー留置後の短期陽子線治療
前立腺がんに対する陽子線治療は、手術等とくらべ尿漏れや性機能障害などの、副作用のリスクが少ないことが特長です。しかし治療の際に前立腺と隣接する直腸に陽子線が当たり、直腸からの出血などが生じる可能性もゼロではありません。これを回避するため、1回ごとの線量を低くして合計37~39回の陽子線照射を行うことが一般的です。
当センターでは、前立腺と直腸の間にスペースをつくる「スペーサー留置術」を行うことで直腸に当たる陽子線の量を減らし、1回ごとの線量を上げる短期陽子線治療に取り組んでいます。
スペーサー留置術は日帰りで行います。約3カ月間スペースを維持した後、半年ほどかけて体内に吸収される「ハイドロゲル」素材を前立腺と直腸の間に注入し、さらに金マーカーを留置します。
この処置によって直腸出血などの副作用のリスクを抑えつつ、21〜22回での陽子線治療が可能です。
その他の疾患
●膵がん ●腎がん ●骨軟部 ●直腸がん術後再発 ●骨盤内腫瘍 ●膀胱がん ●婦人科がん術後再発
など
陽子線再照射
総合病院であることの強み
南東北がん陽子線治療センターは、総合南東北病院と隣接していることにより、複数の診療科の専門医師と一緒に総合的に患者さんを診ることができます。複数の診療科の専門医師と一緒に陽子線再照射の実現を目指していきます。
陽子線再照射
従来、放射線治療は一度きりの治療で、放射線治療後に照射野内で再発した場合には、再照射は困難で手術や化学療法など他の治療法が選択されることが一般的でした。どの放射線治療を用いても、腫瘍周囲の正常組織にある程度照射されてしまい、再照射によるダメージが大きくなるためです。
陽子線はブラッグピークがあるため、腫瘍に高線量を投与しつつ、周囲の正常組織へのダメージをより低くすることができます。その結果、放射線治療後の再発例に対する陽子線再照射が可能となってきました。
米国の放射線腫瘍学会も、陽子線治療の適応疾患の一つに放射線治療後の再照射を挙げています。再発例であるにもかかわらず、陽子線治療ができる事例が増えてきました。